入れ歯

世の中はますます高齢化が進んでいます。健康で長生きするためにはまず物が良く咬めることが一番大切なことではないでしょうか。寝たきりの方も入れ歯で良く物が咬めるようになると、床を離れて歩けるようになると言われています。

中でもお年寄りは入れ歯の方がたくさんいらっしゃいます。しかし、どの方も満足して毎日の食事をされておられるでしょうか。物が咬めない、外れやすい、痛い入れ歯を入れたら年寄りくさくなったなどの不満を持っておられる方が多いのではないでしょうか。

私たちはそれらの不満を解消するためにこれまでいろいろ研鑽してまいりました。

そのために、まず私たち歯科医は、来院されたら患者様の訴え・不満を良く聴いて、その不満が何からくるのかよく理解することが大切です。そこで、当院の入れ歯に対する取り組みと考えをご説明いたします。

患者様が入れ歯を入れて欲しいと来院された場合、すぐに型を取るのではなく、これまでどのような入れ歯を入れてこられたか、また、今使っている入れ歯のどこに不満があるか、慎重に聴きます。たとえば物が咬めない、外れやすい、痛い、見た目が悪い、そしてその不具合が、基準としては次の項目になります。

• 今入れている入れ歯のどこに問題があるか
• 患者様の口の中のどこが悪いか
• 最も大切なことは、その入れ歯が患者様本来の咬み合わせと高さになっているかどうか

特に、入れ歯の場合は、自分の歯が一本もないのですから、どこで咬めばよいのか分かりません。細心の注意を払って独自の咬み合わせに誘導しないと、顎を前の方に出して咬んでしまうことが多いのです。顎を前に出した位置で入れ歯を作ると、本当の咬む位置はそれより後ろですので、本来の咬み合わせと合わなくなります。その結果、入れ歯が外れたり、動いたりして歯肉を傷付け、咬めない入れ歯になってしまいます。

第1日目

患者様が最初に来院されたら、現在の入れ歯のどこが悪いかを診断の基準に照らし、それに基づいて応急的に調整しある程度は咬めるようにします。

• 咬み合わせが患者様本来の物になっているかを確認し、入れ歯の人工歯を並べ替えます。
• 入れ歯の高さを、その人本来の高さに調整します。
• 外れ易い入れ歯の吸い付きを直します（一時的に吸着剤を使用することもあります）。
• 入れ歯が壊れている場合は、すぐに修理をします。

これらの作業は口の中ではできませんので、入れ歯を器械（咬合器）に付けて行います。入れ歯の改修が終わるまで患者様には待合室で待っていただいたり、改修後に再度ご来院していただきます。当院には技工士がおりますので、歯科医と技工士で共同作業することにより、短時間での改修や調整が可能となっています。

ただし、予約せずに来院されたり、診療が立て込んでいる場合は、痛いところのみ治して、次回に診断と入れ歯の改修をする場合もあります。

第2日目

前回の改修や調整で不十分なところがないか、患者様の訴えを良く聴いて、必要があればさらに改修していきます。

第3日目以降

このような過程を経て、物が咬める、外れない、痛みがなくなった時に、その改修した入れ歯を基にして、新しい入れ歯を作っていきます。

このように、新しい入れ歯をすぐ作るのではなく、患者様のお話を良く聴いて診断し、迅速にその悪いところを修正して、的確に咬める入れ歯を作ることが必要です。当院では、このような方法で入れ歯を作っており、患者様に喜んでいただいております。